桐生大学紀要
Online ISSN : 2435-7049
Print ISSN : 2186-4748
物理化学的性質と嗜好型官能評価を指標とした大量炊飯方法の検討
関谷  果林須藤  侑加子荒井  勝己影山  晴秋髙橋  東生
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2020 年 31 巻 p. 33-42

詳細
抄録

 生産効率性が良く温度・時間管理が容易であるスチームコンベクションオーブン(スチコン)は,大量調理施設に て需要が高まっている.スチコンを用いておいしい「めし」の炊飯方法を確立することは,給食施設における経営管 理や,国民の食べる喜びを満たす点からも重要である.そこで本研究では,おいしい「めし」を作るための,大量炊 飯の調理条件を見いだすことを目的に,少量調理用炊飯ジャーと大量調理用ガス自動炊飯釜およびスチコンにて炊 飯した「めし」の重量,水分率,温度履歴,テクスチャーの測定および嗜好型官能評価をおこない,比較検討した. スチコン150℃および170℃炊飯は,炊飯ジャー,ガス自動炊飯釜よりも沸騰に要した時間が短く,特にスチコン 170℃の下層部は温度が最も高かった.また水分量も少ないことから,「めし」の物理的性質には沸騰継続時間や最大 温度が関与している可能性が示された.しかしスチコン170℃は凝集性が高くねばりも強い傾向にあり,細胞の崩 壊と外周へのでんぷんの流出があると考えられた.官能評価の結果,試料間に“好ましさ”の差は認められなかった が,スチコン150℃の「めし」の順位平均はすべての質問項目で最下位であった.今後は170℃でスチコン炊飯をおこ なった時の,炊飯時間や加水量を検討する必要がある.「めし」の好ましさを決定づける要因を追究することは,大 量調理におけるおいしい「めし」の炊飯方法の確立に繋がると考えられる.

著者関連情報
© 2020 桐生大学・桐生大学短期大学部
前の記事 次の記事
feedback
Top