抄録
近年,母親の産後うつが深刻な問題となっている.産後ケア事業など,行政によるサポートが進められているが十分ではない.
そこで本研究では,産後うつをめぐる社会の認識がどのような経過をたどって広がってきたのかを,新聞記事の分析を通して明らかにすることを目的とした.
調査は朝日新聞が提供する記事データベースの朝日新聞クロスサーチを用い,1984年1月1日から2023年8月1日の間に発行された産後うつに関する記事94件を抽出し,意味内容を要約してコード化した.
それらのコードを類似性・相違性に着目しながら分類してサブカテゴリー化し,さらに抽象度をあげてカテゴリー化した.
その結果,カテゴリーとして【知識と動向】,【母親の体験談】,【家族の葛藤】,【社会からの援助】,【課題】,【非常時における対応】,【懸念事項】,【その他】の8項目が抽出された.
さらに,記事数を集計すると,発行年別ではばらつきがあるものの,発行年代別では年代を追うごとに記事数が増加していることが示された.
記事の内容を年代別に検討した結果,産後うつに関する新聞記事の内容が時代を経て変化してきたことが明らかとなった.
現在,産後うつに関する記事はより多角的な視点から書かれるようになりつつある.新聞記事だけでなく,インターネット上の記事などを介して,産後うつに対する社会の認識は今後ますます広がりを見せていくことが予想される.