抄録
本研究の目的は,慢性疾患をもつ子どもの療養に伴う父親の経験を明らかにすることである.研究方法は,慢性
疾患をもつ子どもの父親13名に,子どもの病気が診断された時から現在までの経験について半構造化面接を実施
し,Berelson, B. の方法論を参考にした看護教育学における内容分析を用いて分析した.分析の結果,【子どもの状
況に応じた判断や行動がとれるようになった】【障がいのある子どもとの生活を経て思考や感情が変化した】【子ど
もの障がいの受容が困難だった】【心身の不調や生活行動の乱れが生じた】を含む44カテゴリが形成された.考察
として,〔子どもと子どもを取り巻く社会との相互行為を通し,新たな知識,子どもへの対応能力,心理的安定を
得た〕〔子どもの健康管理に関する困難,子どもの養育困難,家族関係の調整困難に加え,障がいの受容過程に伴
う心理的困難感,父親の性役割観に起因する困難に直面する〕など,6つの特徴が示唆された.これらの特徴から,
子どもの状態や状況に合わせた説明や対応方法を指導する必要性,必要な社会資源の情報提供,父親自身の健康維
持に向けた支援の必要性が示唆された.