抄録
インドネシア・フローレス島中部パジャワ地熱地域から46個の火山岩類の多成分分析を行った.このうち26個はパジャワシンダーコーン群と呼ばれる多数のシンダーコーンを含め,パジャワリフトゾーン火山岩類から採取した.分析の結果,この地域にはどちらかといえば玄武岩からデイサイトにわたるソレイアイトが多いが,パジャワリフトゾーン火山岩類はカルクアルカリ安山岩であり,26個の試料を通じて,主成分も微量成分もきわめて均質であることがわかった.パジャワリフトゾーン火山岩類を擬似三成分系図にプロットすると,その分布は相境界に規制されており,約3kbarあるいは10kmの深度で平衡していたことを示す.この深さはこの地域の海洋性地殻の底に近いことから,リフト型マグマ活動がこのような浅部でのマグマ生成を可能にしたものと考えられる.パジャワリフトゾーン火山岩類のマグマの均質性はマグマ発生域から地表までの短い距離と,途中で停止することのない岩脈群としての上昇に起因している.