2002 年 53 巻 2-3 号 p. 217-230
イネリカ火山コンプレックス付近の温泉および噴気調査として,イネリカ火山山頂から,これより低地のゴウ地域およびさらに低地のメンゲルーダ地域までの,イネリカ火山から東へ最大12kmにおよぶほぼ直線上の湧水および河川水試料の地化学分析を実施した.全試料について主成分および微量成分を分析した. 温泉および噴気の主成分・微量成分および希土類の濃度は,温度とpHに依存する.すなわち,錯体を形成する配位子の性質,岩石の初期構成鉱物パターン(溶脱または溶解を受けている),火山地域で はガラスとマグマ鉱物(希土類の挙動をコントロールする卓越相),岩石の変質過程における2次鉱物 の分別作用である.また複数のメカニズムが複合していることは,自然状態で容易に観察できる. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))