抄録
本論文の目的は,インドネシアのフローレス島ゴウ地域における地熱エネルギ一利用可能性を確認し記述することである.ゴウ地域における地球科学総合調査の結果を概観すると以下の通りである.地質層序は火山岩類および堆積岩類からなり,その下位に第三紀の基盤岩類がある.地表地熱徴候は北東-南西方向のメンゲルーダ断層に沿って分布し,温泉・噴気・変質岩などからなる.マナガラ,ワトゥ・ウティ,トゥカペラの各温泉の温度は最高47.5℃で,湧出量は毎分5~7リットルである.温泉はすべて高濃度の酸性硫酸塩泉であることが特徴である.また,メンゲルーダ断層に沿った温泉近傍の地表では粘土化変質がみられる.土壌ガス水銀濃度の高い場所はマナガラ温泉およびワトゥ・ウティ温泉の周辺に集中しており,最大564ppbである. AB/2=1000 m での低見掛比抵抗(10Ωm未満)の水平分布もこれらの温泉周辺に集中しており,北東方向に開いた形状である. この有望地域は少なくとも約2 km2に及ぶ.低比抵抗帯の垂直分布は深度350~700mである. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))