地質調査研究報告
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論文
短波長赤外線反射スペク卜ルを用いたインドネシア,ヌサテンガラ東部フローレス島中央部マタロコのMT-1およびMT-2井における熱水変質鉱物の特徴
Dany ASWINFredy NANLOHY
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2002 年 53 巻 2-3 号 p. 323-328

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抄録

短波長赤外線反射スペクトルは,鉱物の調査,特に鉱化作用に関連する変質鉱物の認定に広く用いら れている. 本手法は地熱調査にも,特に地熱系の物理・化学的特性に関連する熱水変質鉱物の決定に, 極めて有用である. MT-1およびMT-2井において検出された主な熱水変質鉱物は,モンモリロナイ ト(士沸石),ハロイサイト,カオリナイト,イライト,ディッカイ卜である. スメクタイト・グループ(モンモリロナイト)とカオリン・グループ(カオリナイト,ハロイサイト,ディッカイト)が重なっ ていることは,2種類の流体環境があったことを示している. スメクタイト・グループは非酸性環境で生成するのに対し,カオリン・グループは酸性環境で生成する. Al-OHバンドの波長は地表付近から坑底に向かつて減少傾向を示し,モンモリロナイトに富む(Al-OHバンドの吸収が高い)状態からイライ卜に富む(Al-OHバンドの吸収が低い)状態へと変化することを反映している. すなわち,Al-OHバンド波長のデータにより,地表付近のスメクタイト卓越ゾーンから坑底のイライト卓越ゾーンへ移化することが明らかとなった. また,このことから地熱系の熱史も明らかになると考えられる. (要旨翻訳:水垣桂子(地圏資源環境研究部門))

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© 2002 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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