2019 年 11 巻 1 号 p. 1_32-1_40
目的
沖縄出身ボリビア移民一世高齢者の語りから,沖縄の文化での誇りと大事にしていることを明らかにし,移住地での文化を考慮した地域ケアシステムへの示唆を得ることである。
方法
研究協力者102人に対し,半構造化された調査票を用いて,面接聴き取り調査を行った。逐後録から,文化での誇りと大事にしていることについて語られた一連の文脈を原文として抜き出し,カテゴリー化を図った。
結果
一世高齢者は,【故郷への郷愁の念】を持ちながら,【新天地を拓いてきた気概】を持っていた。【帰属意識を強める家族・親族のつながり】と【同郷仲間での楽しみ・安心】できる環境で,【共感しあう方言】で親しみ・元気づけられ,【日常に織り込まれたユイマール】で助け合う文化を大切にしていた。沖縄から持ち込んだ豊年祭など,【みんなで楽しみ・踊る伝統芸能】として大事にしていた。また,祖先崇拝や伝統行事を【脈々と受け継ぐ伝統行事】として継承していた。そして,次世代(二世・三世)の【育まれた敬老精神】に感動を覚え,【次世代に継承する気構え】を持ち,生き抜いてきたことを誇りにしていた。
考察
今後のオキナワ村での地域ケアシステムへの方向性として,一世高齢者に根付いている沖縄の文化とユイマールが根付く共同体を強みとして捉えた上で,ボリビアの文化や保健医療福祉の現状も踏まえ,地域ケアシステムを推進していく必要がある。