目 的
小離島における祭事を活かした介護サービス中止の背景とその挑戦による評価の内容から,沖縄の地域文化である「互助」の復活による地域ケアの創造を考察する。
方 法
地域文化の色濃く残るA島での介護サービス中止の背景を把握した後,介護従事者(以下,介護職)10名,介護サービス利用家族(以下,家族)27名の研究参加者に介護サービス中止の評価を半構成の面接聞き取り調査を行い,質的帰納的に分析した。その後,介護職と家族の評価から,「小離島の地域文化を活かして地域ケアは創造できるか」の視点で分析した。
結 果
介護サービス中止の背景は,これまで家族や地域の関係者でやってきた介護(互助)が介護サービス(共助)に委ねられ,要介護高齢者から地域と家族との一体感を奪っている危機感であった。介護職と家族の介護サービス中止の共通の評価では,【高齢者の「快」の反応】,【祭事に家で過ごす肯定的な価値】があった。立場による評価では,介護職は,【家族介護の確認】,【祭事による生きる意欲への期待】,【島の人のケアによる島のケアの復活と使命】,【サービス中止による新たな課題】,【これまでのケアの反省】があり,家族は,【家族介護の受け入れ】,【祭事による家族のつながりの強化】,【島の人のケア観への共感と感謝】,【家族介護の限界】,【サービス中止への不満】があった。
考 察
小離島の介護サービス中止の評価から,地域文化を活用することで地域ケアの創造が見いだせた。都市地域であっても,日常生活圏域や自治会単位で地域文化が存在することから,地域包括ケアシステム構築に地域文化を取り込む必要性が示唆された。
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