2014 年 6 巻 1 号 p. 1_24-1_32
地域保健分野では地域の社会文化的背景を汲み取り,活動を展開していく重要性が指摘されている。しかしながら,地域特性を把握するための手法は検討されているものの,地域保健専門家がいかなる視点で地域特性をとらえているのかは検討されていないところである。本研究では,地域保健専門家の地域特性をとらえる視点を明らかにすることを目的とし,地域保健専門家に対するインタビュー調査を行った。本研究における発見事項は以下のとおりである。地域保健専門家は,1.行政区のような客観的な区分のみならず,生活圏域のような地域の範囲を設定する視点,2.同一地域における差異に着眼し,また,地理的要素を越えたところに存在する共通性でもって地域をとらえる視点,3.細分化した地域特性を関連づける視点,を有していた。これらの知見は,地域特性をとらえるにあたり,生活圏域といった範囲で地域をとらえる重要性,細分化した要素の集合としての地域の把握に陥ることなく地域特性を構成する各々の要素の関係性を強調することの重要性を指摘する知見となると考えられた。加えて,従来の地理的範囲に依拠する地域像や,地域の特性を細分化してみる枠組み,といった地域特性をとらえる枠組み自体を再構成していく視点を地域保健専門家は有していることが考えられた。