本研究の目的は,健康状態と生活調整のモニタリング・フィードバックに焦点をあてた健康自主管理演習に参加した看護学生の健康状態と生活調整の変化を明らかにすることである。A大学「健康自主管理演習」に参加し研究参加に同意した1年次学生15名(女性14名・男性1名)の演習時に行った身体計測および学生の記録と発言,授業内容をデータとし,身体・心・社会関係の調和が保たれているか,健康状態に即した生活調整をしているかという観点から健康状態と生活調整の性質の変化を分析した。
分析の結果,15名全員が①炭水化物中心(菓子パン,おやつ,おにぎり)の食事形態から卵・乳製品,タンパク質,野菜・果物,主食はパンから米を取り入れた食事形態が増加,②朝食の欠食,夕食時間の遅延,0時以降の就寝などの生活リズムの乱れが,朝食摂取,夕食時間を早める,0時前に就寝するような生活リズムへと変化,③身体状態と心の状態とのつながりを実感できるように変化し,④健康自主管理を困難にする要因について考察できるようになった。これによって,学生は目覚めの快適さ,便通の改善,呼吸が深くなる,肌荒れの改善,月経周期が規則的になる,基礎体温が2相性になる,風邪をひきにくくなる,冷えの改善,やる気がでるなどの健康状態の変化を実感していた。
健康状態と生活調整の変化をもたらす要素は,自己の生活を客観視し,人間に備わっている統一体としての対立の調和を保つ働きを学び,生活調整する過程で健康状態と生活との関連を実感し,仲間が行っている生活調整を聞き刺激を受けて,現在の生活が健康状態に及ぼす影響について思考するというものであった。
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