目 的
大学教員と訪問看護ステーション(事業所)の看護師が新卒訪問看護師の育成プログラムを協働して実施した際の合意形成過程を明らかにし,問題とその要因,および課題を文化的視点から考察する。
方 法
研究協力者は事業所の管理者1人と指導者2人計3人の看護師,新卒者2人および県看護協会担当者1人であった。分析対象は,事業所の看護師・県看護協会担当者・大学教員による学習支援者会議議事録19件,指導者・県看護協会担当者・新卒者による目標達成評価面接の記録4件,大学教員による研究協力者に対する個人面接調査の逐語録17件等であった。大学教員と事業所の看護師の合意形成が困難であった事項に関する記述を抽出し,各事項における各々の認識と行動の変化した局面を抽出して要約し,合意形成過程を示した。ついで合意形成の課題を文化的視点から考察した。
結 果
各利用者に対する訪問看護技術の習得のための手順書,および新卒者の学習課題に関する自己評価票の活用における合意形成の問題が見られた。事業所の看護師は訪問看護技術の習得と利用者への適用を新卒者の優先課題とし,その達成のために手順書を作成し,技術チェック票としての自己評価票を期待した。一方,大学教員は手順書による画一的なケアを危惧し,生涯学習者としての学習スキル開発のための自己評価票の活用をより重視していた。新卒者における手順書作成や自己評価票の活用の必要性および効果の理解により,合意形成に至った。
考 察
事業所の看護師と大学教員の合意形成の問題は,両組織の役割にもとづく文化の違いと考えられ,相互の役割,価値,行動等の関連し合った文脈を能動的に理解しようとすることにより,新卒者への有効な協働による支援が可能になると考える。