放送研究と調査
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NHKドキュメンタリーの制作技法の中長期的な展開
主に技術環境の視点から
宮田 章
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2019 年 69 巻 4 号 p. 2-29

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抄録

NHKのテレビドキュメンタリー(以下「TD」)の制作技法は4つの技術的展開に大きな影響を受けている。①テレビ草創期に映像の収録媒体として16ミリフィルムを採用したこと、②60年代末から70年代初頭にかけて同時録音技術が普及したこと、③70年代末から80年代前半にかけてフィルムロケからVTRロケへと転換したこと、④80年代半ば以降、制作プロセス全般でデジタル化が進展していったこと、がそれである。これらの技術的展開は、NHKにおけるすべてのTDの作り手が、10年を超えるスパンで依拠する技術環境を作り出し、それぞれの技術環境に適合的な制作技法を成立せしめたという意味で画期的であった。本稿は、1953年のテレビ本放送開始から2018年に至るNHKの主なTDの一覧図を示すとともに、主に技術環境の視点からその制作技法の中長期的な展開を記述する。得られた知見を基に、60年を超えるNHKのTDの展開を4期に時期区分することができる。

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© 2019 NHK放送文化研究所
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