抄録
ヨーロッパでは、公共放送の財源について、2010年代以後、テレビ受信機の所有に基づく受信料制度から、ドイツの全世帯に負担を課す放送負担金の導入や、北欧の所得に基づく税金化、あるいは交付金化など、制度を見直す国が相次いでいる。フランスでは、受信料にあたる公共放送負担税が公共放送の財源であったが、2022年、マクロン大統領の突然の選挙公約により、公共放送負担税が廃止された。その後の暫定措置を継続する形で、2025年から国の付加価値税の税収からの拠出が制度化された。それ以前には、デジタル時代に向け、ドイツ方式なども含めて公共放送の財源のあり方について検討も行われていたが、今回の制度化には反映されなかった。公共放送負担税廃止後は、議会の議論では新たな税の導入は社会的にも受け入れられないとされ、その一方で、制度化されず国の一般予算からの拠出になれば、国営メディアとみなされるとの懸念から、付加価値税の税収の一部を、国の一般予算とは別の特別勘定に相当する枠に、公共放送の財源として割り当てるという形がとられた。公共放送に財源を担保するための制度化はなされたが、一方、その独立性や業務運営に必要な予算規模の確保については課題が残る。複数年度にわたる予算規模は、政府と公共放送がかわすCOM(目標手段契約)により示されて担保されるはずが、政権の方針により、これまでたびたび契約期間中に減額されている。財源確保に向け公共テレビでは、人員や番組制作費を削減する一方、広告収入増などに力を入れているが、商業放送との差別化や競合の問題などの課題も抱えている。