2002 年 51 巻 2 号 p. 97-103
試薬中の不純物である微量金属は高感度分析において様々な妨害を示すためあらかじめ除去する必要がある. そのための精製法には多くの方法があるが, 溶媒抽出は最もよく用いられる方法である. そこで緩衝剤として多量に使用されるホウ酸ナトリウムの精製を目的とし, 分析において妨害の要因となることの多いMnII, FeIII, CoII, CuIIをテフロン相分離器を用いた連続抽出により除去することを試みた. 最適条件を得るためにホウ酸ナトリウム水溶液に各金属を加え, 抽出試薬である5,7-ジヨードオキシンを含むクロロホルムで連続抽出を行い, 最適条件を決定した. 得られた条件により, 実試料中の99%以上の金属を回収することができた. 精製後の試料を高感度分析法である化学発光法や接触分析法に適用した結果, 空試験値及び再現性が改善され, 精製効果を確認することができた.