抄録
著者らが提案したフローインジェクション滴定分析法を酸化試験潤滑油中の全塩基価測定に適用した.本法は,潤滑油中の塩基性添加剤と酸-塩基緩衝液の中和反応によって引き起こされる指示薬の吸光度変化あるいはpHガラス電極の電位変化を測定するものである.吸光度測定法では,吸光光度検出器を備えた3流路のフロー系を構成した.すなわち,非水溶媒から成るキャリヤー,過塩素酸溶液の流れ及び指示薬(メタクレゾールパープル)を含むトリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム塩溶液の流れである.吸光度の変化は潤滑油中の全塩基試料濃度に比例した.本提案の方法により得られた酸化試験油中の全塩基価は,従来の中和滴定法による値と良い相関性を示した.しかし,酸化によって濃色となった潤滑油試料については,吸光度測定に妨害を与えるため,相関直線からの偏りが見られた.指示薬を含まないトリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム塩溶液の流れを用いる3流路のフロー系で,ガラス電極を検出器とする電位測定法では,酸化して濃色となった潤滑油についても,得られた全塩基価は従来の中和滴定法によって得られた値と良い相関を示した.