分析化学
Print ISSN : 0525-1931
総合論文
液体電極プラズマを用いる超小型元素分析装置の開発
山本 保
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2020 年 69 巻 6 号 p. 247-256

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抄録

アルゴンなどのプラズマガスを使用しない液体電極プラズマ(LEP)を活用したプラズマ発光分光方式の小型元素分析装置(LEP-AES)を開発した.LEPは,電解質試料溶液を満たした微細流路の両端に高電圧を印加することによりプラズマを発生するもので,このプラズマを励起源として発生した原子発光を小型分光器で分光分析する.LEP-AESは,誘導結合プラズマを用いる従来法では必須のプラズマガス,排気設備,専用電源が不要であり,新規ユーティリティーを追加することなく既存施設に設置可能であるとともに,携行・可搬が可能であるためオンサイト分析に適用可能である.また,小容量の試料溶液で測定が可能であるため,前処理に必要な試薬の量と発生する廃液の低減が可能で,グリーンケミストリーに貢献可能な元素分析装置である.本稿ではLEPの研究及びLEP-AESの開発経緯と機能をまとめ,LEP-AESのオンサイト分析への適用例に関しても併せて報告する.

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© 2020 The Japan Society for Analytical Chemistry
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