分析化学
Print ISSN : 0525-1931
均一溶液からのビスマス8-ヒドロキシキノレート沈殿の生成
滝山 一善上月 叡子
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1968 年 17 巻 11 号 p. 1412-1416

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抄録

ビスマス8-ヒドロキシキノレート沈殿を, 8-アセトキシキノリンの加水分解による均一溶液からの沈殿法(PFHS法)によって生成し,定量条件,共存不純物からの分離,沈殿の形態などについて検討した.
ビスマス8-ヒドロキシキノレートはPFHS法によりpH 6.0より11.0の範囲で定量的に沈殿し, 20mgのビスマスに対して8倍当量の8-アセトキシキノリンを使用して1~35mgのビスマスを定量しうる.沈殿は130℃で乾燥してBi(C9H6NO)3として定量できる.
鉛との分離は1回の沈殿操作では完全ではないが, PFHS法では常法よりもはるかに共沈殿する鉛の量が少なくなる.マグネシウム,およびカルシウムからは常法, PFHS法,ともに完全に分離しうる.
沈殿粒子は板状体をしており,カドミウムや亜鉛の8-ヒドロキシキノレート粒子と似ているが,結晶構造は明らかでない. PFHS法によれば常法によるよりもはるかに大きな粒子を生成し,定量のための処理に便利である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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