分析化学
Print ISSN : 0525-1931
チオジベンゾイルメタンを抽出キレート剤とする水銀の同位体希釈分析
イオウを含むキレート試薬に関する研究(第20報)
田中 久中西 信子杉浦 幸雄横山 陽
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1968 年 17 巻 11 号 p. 1428-1432

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抄録

チオジベンゾイルメタンは,種々の重金属と有機溶媒に可溶性の安定なキレート化合物を生成するので,重金属に対する新しい抽出キレート剤としての可能性を検討した.本報では,チオジベンゾイルメタンを用いる水銀の同位体希釈法が調べられた.水銀はpH 3以上で本試薬によって定量的にクロロホルム相に抽出される.存在する水銀に対して,化学量論的に不足量のチオジベンゾイルメタンのクロロホルム溶液を加えて振り混ぜたのち,クロロホルム相中の一定量をとって,その放射能強度を測定し,同様に操作した標準溶液のクロロホルム相中の放射能強度との比から,試料溶液中の水銀量を求めた.本法によって, 10-7g程度の水銀を容易に定量することができ,また種々共存イオンの影響は,ほとんど観察されなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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