分析化学
Print ISSN : 0525-1931
クロムアズロールSとポリオキシエチレンドデシルアミンによるベリリウムの吸光光度定量における陰イオンの影響
西田 宏
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1978 年 27 巻 2 号 p. 77-81

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抄録

ペリリウムとクロムアズロールS(CAS)は,ポリオキシエチレンドデシルアミン(POEDA)の存在下で1:2錯体(吸収極大605nm,モル吸光係数1×105)を生成する.平衡に達した後の吸光度に対して,共存する陰イオンの種類による影響が見られなかった.
錯体の生成反応速度において,ベリリウム及びCASに関して反応次数はそれぞれ1及び2である.反応速度はPHによる影響は見られなかったが,POEDA濃度の増大とともにわずかに減少し,又,共存する陰イオン濃度の増大とともに増大した.この場合,共存する陰イオンの種類によって反応速度が異なり,その速さの順序はEDTA≫過塩素酸塩>硝酸塩>塩化物≧硫酸塩であった.ベリリウムイオンとミセルイオン界面におけるCASとの相互反応が律速段階と考えられる.
EDTAの添加は反応速度を最も大きくし,又,金属イオンをマスキングするので有効である.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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