分析化学
Print ISSN : 0525-1931
硫酸添加-乾式灰化法による油性食品中の微量金属の黒鉛炉原子吸光分析
李 承範吉村 悦郎田中 幸夫斉藤 純山崎 素直戸田 昭三
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1986 年 35 巻 12 号 p. T120-T123

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抄録

マーガリン及びバターを灰化し,黒鉛炉AASでニッケル,銅,マンガンの定量を行った.灰化は硫酸を加え炭化させ,硝酸を添加した後に乾式灰化し行った.灰化における目的元素の揮散は,塩化ナトリウムが多量に共存したモデル系で検討し,硫酸の添加で防げることが分かった.本法を実際の試料に応用し良好な結果が得られたが,試料を20gと大量にすると試料と硫酸の混合が不十分となり,目的元素が揮散することが分かった.原子吸光の測定は,灰化溶液の直接測定,並びに溶媒抽出-湿式灰化法の併用について検討した.その結果,ニッケル,銅含量の極めて少ない試料では溶媒抽出-湿式灰化法が必要であったが,それ以外では両者には大きな差異は認められなかった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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