1987 年 36 巻 7 号 p. 436-440
黒鉛炉AASによるCo及びNiの定量法につき検討し,茶葉,植物試料(NBS SRM Orchard Leaves, Spinach)中のCo,Niの定量に応用した.植物試料中に微量で存在しているCo,Niは,添加剤としてトリオキソバナジン(V)酸アンモニウムを加えることにより,濃縮,共存物質の分離などの前処理なしに,直接定量可能であった.本方法によってNBS SRM 1571と1570のCoを定量した結果,0.19と1.35μg/gであり,参考値の0.2,1.5μg/gと良く一致した.Niの結果については,1.22,5.68μg/gであり,1.3±0.2μg/gの表示値あるいは6μg/gの参考値と良く一致した.本方法の相対標準偏差はCo及びNiに対してそれぞれ0.42~1.80%及び0.89~4.80%である.溶媒抽出/黒鉛炉AASなどの定量法より簡便,迅速であり,かつ定量精度も良かった.