分析化学
Print ISSN : 0525-1931
黒鉛炉原子吸光法による植物試料中のコバルト及びニッケルの定量
斉 文啓古谷 圭一合志 陽一
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1987 年 36 巻 7 号 p. 436-440

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抄録

黒鉛炉AASによるCo及びNiの定量法につき検討し,茶葉,植物試料(NBS SRM Orchard Leaves, Spinach)中のCo,Niの定量に応用した.植物試料中に微量で存在しているCo,Niは,添加剤としてトリオキソバナジン(V)酸アンモニウムを加えることにより,濃縮,共存物質の分離などの前処理なしに,直接定量可能であった.本方法によってNBS SRM 1571と1570のCoを定量した結果,0.19と1.35μg/gであり,参考値の0.2,1.5μg/gと良く一致した.Niの結果については,1.22,5.68μg/gであり,1.3±0.2μg/gの表示値あるいは6μg/gの参考値と良く一致した.本方法の相対標準偏差はCo及びNiに対してそれぞれ0.42~1.80%及び0.89~4.80%である.溶媒抽出/黒鉛炉AASなどの定量法より簡便,迅速であり,かつ定量精度も良かった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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