分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ジメチルグリオキシム-クロロホルム抽出-吸光光度法によるニッケルの定量
北川 公柴田 則夫
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1958 年 7 巻 5 号 p. 284-287

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抄録

ニッケルをジメチルグリオキシム錯塩となし,クロロホルムで抽出し吸光光度定量するときの諸条件を明らかにする目的で本研究を行い,つぎのことを見出した.
すなわち,(1)ニッケルジメチルグリオキシム抽出の際のpHは5~9がよい.(2)光度定量に適当な波長は370~380mμである.(3)ジメチルグリオキシム試薬は大過剰に使用しても影響はない.(4)抽出したクロロホルム溶液は非常に安定である.(5)共存元素の影響をしらべた結果,ニッケル0.20mgにたいし,銅は0.2mg以上,コバルトは5mg以上,クロムは20mg以上,マンガンは100mg以上共存すると定量に支障をきたす.アルミニウム,ビスマス,カドミウム,鉄,モリブデン,亜錯,スズ,アンチモン,チタン,バナジウム,タングステンは500mg存在しても影響はほとんどない.(6)銅の影響を除くには,抽出液をジメチルグリオキシムを含む酢酸アンモニウム+アンモニア水で数回処理するとよい.
なお実際に鉄鋼,アルミ合金,銅合金中のニッケルの定量に応用した結果,きわめて満足すべきものであることを示した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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