分析化学
Print ISSN : 0525-1931
X-ray Diffractometerによる縮合リン酸塩(NaPO3-Na5P3O10系)の定量分析
X-ray Diffractometerによる工業分析法の研究(IV)
橋詰 源蔵萩野 友治小林 正光
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1958 年 7 巻 5 号 p. 287-292

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抄録

縮合リン酸塩のうちとくに無定形物質を含みやすいもの,すなわちNaPO3-Na5P3O10系のX-ray Diffractometer(X線回折計)による定量分析法を検討した.
NaPO3-Na5P3O10系では,無定形状態のものを加熟処理することにより結晶性のNaPO3とNa5P3O10の混合物が得られ,その結果組成を内部標準物質法(Internal Standard Method)で決定することにより原試料の推定あるいは晶質管理の一手段とするものである.
結晶形は安定性,処理の容易さ,回折線の強度などを考慮してNaPO3(I)およびNa5P3O10(I)を選び,したがって加熟処理は500~550℃でおこない,また標準物質(Intemal Standard)としては,あまり適当なものとはいえないがCaSO4・1/2H20をもちいた.測定値の再現性は±5%程度であった.加熱処理時間を検討した結果,NaPO3(I)は結晶化速度が大凄く,500℃1時間程度で十分な精度を期待で選るが,Na5P3O10(I)は2時間以上,とくにその量が少ないほど長時間加熟することの必要性をみとめた.なお二,三の実例について応用し興味深い結果を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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