日本物理学会誌
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統計力学の基礎における関数解析的方法
荒木 不二洋
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1970 年 25 巻 1 号 p. 51-55

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抄録
作用素環を使って, 体積粒子数ともに無限大の系を取り扱う理論形式を, スピン格子系の平衡状態の統計力学を例にとり, 解説する。非常に一般的な相互作用について, 体積無限大の極限としての自由エネルギーと相関関数の存在定理を述べ, またハイゼンベルグ描像の存在も説明する。次に, 状態のエルゴード分解と無限遠分解を説明し, 両者とも純粋相への分解であることを支持する特徴づけを与える。また結晶を両者の分解が違う場合として捕える。最後に, 平衡状態の五つの互いにほぼ同等で相異なる特徴づけを与え, それがエルゴード分解や無限遠分解による純粋相の捕え方にぴったり収まることを述べ, 方程式による特徴づけが, 臨界温度の上界の計算に使われていることを説明する。
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