日本物理学会誌
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輪講の原稿 (<小特集>「小谷正雄先生の物理学への貢献をふりかえって」)
江沢 洋
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1994 年 49 巻 6 号 p. 467-471

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抄録

468ページの写真は,小谷先生の若き日のノートの第2〜3ページである.表紙には量子力学論文輪講原稿第二集と筆で几帳面な楷書で書かれている.高校時代から親友だった犬井鉄郎が「かわいい,小学生が使うようなノート,表紙に赤い屋根がついた…」と語ったのは第一集のことか?この第二集には「赤い屋根」でなく「赤い花」がついている.横14.3cm,縦19.4cmの94ページ.罫線はない.小谷は,勝木のインタヴュー(1977年6月15日)において「大学の2年のころに,かなり量子力学の論文,といってもそう論文があるわけでもないけれど,何か学生の仲間で,論文を読んだりしていた」と言い,同席した犬井は「小谷さんはSchrodingerをやった」と応じて「とにかく,やたらに,めちゃめちゃに読んだ」と言っている.小谷ノートは,そのとき作られたのである.「原稿」とあるから,輪講の準備ということだろう.

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© 1994 社団法人 日本物理学会
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