日本物理学会誌
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不確定性原理・保存法則・量子計算
小澤 正直
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2004 年 59 巻 3 号 p. 157-165

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抄録

古典力学は,過去の状態を完全に知れば,それ以後の物理量の値を完全に知りうるという決定論的世界観を導いたが,量子力学は,測定行為自体が対象を乱してしまい,対象の状態を完全に知ることはできないことを示した.ハイゼンベルクは,不確定性原理により,このことを端的にかつ数量的に示すことに成功したといわれてきたが,測定がどのように対象を乱すのかという点について,これまでの関係式は十分に一般的ではなかった.最近の研究により,この難点を解消した新しい関係式が発見され,これまで個別に得られてきた量子測定の精度や量子情報処理の効率の量子限界を統一的に導く第一原理の役割を果たすことが明らかになってきた.

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© 社団法人 日本物理学会
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