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肝癌生成物質投与ダイコクネズミ肝の脂肪酸アミド脱アミノ酵素について
岸 三二浅野 文一春野 勝彦
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1955 年 46 巻 1 号 p. 33-40

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抄録

発癌過程における臓器の病変とその酵素活性度との相関関係の研究である, われわれはさきに発癌剤投与ネズミ肝の酵素アミダーゼに属するハロゲン化脂肪酸アミド脱アミノ酵素の活性度について報告した。ここに基質として単なる脂肪酸アミドの同族列15種類を選んだ。うち2種はω-phenyl 脂肪酸アミドである。
発癌剤を長期間投与した後ネズミを正常食にもどして飼育をつづけた動物の肝を材料とした。肝の均質液と緩衝液と基質の水溶液-水に難溶性の物質は propylene glycol を溶媒に用いた-を混合し一定時間内に脱アミノ化されて遊離したアンモニアを Folin 法で定量し酵素の活性度とした。これはすべて白紙試験値を差引いてある。
対照とした正常動物肝の活性度は高い, 病変肝 (肝癌を除く) は病変の亢進に伴って漸時低下するがなおかなり高い活性度をもつ. 肝癌そのものは活性度は極はめて低くく正常値の10分の1の程度である。この結果は既報ハロゲン化脂肪酸アミドの脱アミノ酵素と近似している。なお基質脂肪酸アミドの分子量, 分子構造と酵素的分解性にも論及した。

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