1958 年 49 巻 2 号 p. 105-112
AAT (オルトアミノアゾトルエン) を数カ月間白米に0.1%の割合に混じた飼料で飼育した際ラッテ肝臓中の蛋白質と化学的に結合する色素の量の時間的変化を調査したところ, 3カ月乃至4ケ月附近に極大値が存在することが分った。肝臓内で代謝されてフォルマリンを与えるようなN-メチル基をもたないAATがかように蛋白質と結合することは興味深い。
絹フィブロイン中のチロシン残基にマンニッヒ反応を行わしてAATを結合さしたのち, これをアルコール性アルカリで加水分解したのちAAT-チロシン結合体を結晶状にうることができた。
この合成AAT-ポーラーダイと天然ポーラーダイ (部分的精製) について, 若干の化学的性質の比較を行った。