Print ISSN : 0016-450X
アミノアゾベンゼンの肝臓蛋白との結合に関する研究
第四報 種々のアミノアゾ色素をゾンデ投与した際の蛋白結合色素の量とその性質
寺山 宏草間 慶一青木 孝好
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1958 年 49 巻 2 号 p. 97-103

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抄録

50mgのDAB, MAB, ABおよびAATを2ccのプロピレングリコールに溶かしたものを鼠の肝臓にゾンデで直接に注入したのち, 肝臓蛋白質と化学的に化合した色素の量の時間的変化ならびにその結合の化学的様式について研究した。いずれの場合にも投与後3日目位で極大値に達し, それ以降は徐々に結合量は減少する。結合した色素量はDABの場合が最も多く, MAB, ABの順に減少する。AATの際にはほぼABに近い値を示すようである。DABおよびMABをゾンデで投与した場合は, 白米に低濃度 (0.06%) に混ぜて長期間飼育した際に見られる最大結合量の数倍もの結合色素が短時日の中にみられ, かつ結合色素は第二級アミノ基恐らく〔-N<HCH3〕をもったものが大部分であることが特長的である。
DABを50mg宛3日置きに投与した場合も結合色素量は第一回投与後特に増大する傾向は示されず, ほぼ一回の投与で肝臓の極限量に達するものと思われる。
種々な実験事実より, アミノアゾ色素に結合する蛋白質はかなり特異的なものであり, かつまたDABやMABのN-メチル基の代謝に由来するC1化合物 (恐らくフォルマリン) のみならず, 基本的正常な代謝に由来するC1化合物もまた, アミノアゾ色素と蛋白質との結合に関与することが予想される。

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