抄録
我々は脳梗塞ラットモデルにおいて,経静脈的に骨髄間葉系幹細胞移植を行うことで,良好な機能改善が認められることを報告してきた.行動学的機能回復の程度は,梗塞巣の体積の変化と必ずしも相関しない場合がある.我々はfunctional MRI (fMRI)による動的な脳機能の変化と運動機能回復の関連性について検討し,骨髄間葉系幹細胞を移植した群にのみ,fMRI にて両側に皮質賦活信号を認める群が存在し,より高い運動機能の回復を認めていたことを報告した.本稿ではその内容を報告するとともに,現在行っている骨髄間葉系幹細胞を用いた脳梗塞の医師主導第III 相治験に関して紹介する.