2018 年 30 巻 1 号 p. 89-94
4D-CTA は,造影剤の脳への到達から wash out まで全時相の CTA を撮像するもので,CTA の迅速性・非侵襲性に,DSA の flow dynamics の解析力を併せ持つモダリティとして開発された.従来,4D-CTA は,頭蓋内シャント疾患や出血性疾患の病態解析に用いられてきたが,近年それ以上に期待されるのは急性脳主幹動脈閉塞(ELVO)の病態解析である.当施設では, 64 列の MDCT と shuttle mode を用い ELVO に対する再開通療法の成否に関する以下の決定的情報を得ている.(1)血管閉塞部位,(2)collateral の様式と程度,(3)ペナンブラとコアの推定,(4)血栓の位置,範囲,性状.本稿では, 2015 年 2 月~2017 年 5 月,当施設で施行した 432 件の緊急 4D-CTA 施行例をもとに,急性期脳虚血病態評価における本モダリティの有用性と可能性を提示する.