抄録
CDK2(Cyclin Dependent Kinase 2)は癌治療の新たな分子標的であり、より特異的で強力かつ選択的なATP拮抗型CDK2阻害剤を見いだすべく、いくつかの研究が行なわれてきている。この論文では、我々の前回の研究で得られた4化合物から導かれた特徴に基づき、ZINCデータベース中からLipinskiのルールにかなった54,558化合物を選び実施したバーチャルスクリーニングについて報告する。CDK2酵素である2UDO(PDBのID)に対する結合能を調べるために、全化合物についてGOLD(Genetic Optimization for Ligand Docking)ソフトウェアを用いてドッキングとスコアリングを行ない、ドッキングスコアが41.71-82.33 kcal/molとなるヒットを得た。その結果得られた392のヒット化合物はCDK2とGSK-3β(Glycogen Synthase Kinase-3β)との特異性に基づいてふるいにかけ、CDK2により特異的な17化合物を得た。さらに、17個の最も良い結合配置について、GOLD 3.1に組み込まれているGOLDスコア、CHEMスコア、eHiTS_score(electronic High Throughput Screening)、MolegroソフトウェアのMolDockスコアとX-Scoreといった5種類の異なったスコアリング関数を用いて評価するコンセンサススコアリング法により再スコアリングを行なって、上位にランクされるヒット化合物を選び出した。最後に、上位10化合物についてMTTアッセイを用いたヒト肺腺癌上皮細胞株A549に対する抗増殖効果を調べた。