PPARδ作用薬として、一連の二アリル置換チアゾール類とオキサゾール類について、分子ドッキングを実施した。Molegro Virtual Docker v4.0.0を用いて、代表的な化合物セットを3D5Fの活性部位領域中に結合させるために、ドッキング手法を適用した。それらの化合物について、結合自由エネルギー(kcal/mol)と対数値(1/EC
50)の間には良い相関関係がみられた(r
2=0.719)。ドッキングシミュレーションは結晶構造の結合様式とほとんど同じような、つまり、RMSD が0.91Å以内の結合様式を明確に予測できた。Ar
1とAr
2置換基による検証に基づいて、単純な組み合わせを考慮しながらリガンドの設計を開始した。設計化合物について、ACD/ChemSketch v12.0を用いて、生物薬学的特性、すなわち、疎水性(logP)、溶解性(logS)、イオン化定数(pKa)、分布係数(logD)を計算した。評価のために、水素結合相互作用を調べるとともに、生物活性予測値(log(1/EC
50))と生物薬学的特性値との間の2変数による統計的な相関を検討した。こうしてリガンド11(cC)はPPARδに対して高い結合エネルギー(-206.73 kcal/mol)を示すことがわかった。この結果は、設計リガンドとPPARδ結合部位領域との間で起こる相互作用の型を理解し、二アリル置換チアゾール類とオキサゾール類のAr
1とAr
2置換基の重要性を説明するのに役立つものである。
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