Chem-Bio Informatics Journal
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無矛盾にUniversal Force Fieldと組み合わせた電荷平衡法:アミノ酸分子への適用
小川 哲司北尾 修栗田 典之関野 秀男田中 成典
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2003 年 3 巻 2 号 p. 78-85

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抄録

電荷平衡法(QEq)は、固定電荷を用いる標準的な分子力場とは異なり、分子の構造や環境に依存して原子上の部分電荷を決定し、静電エネルギーを求める方法である。我々は、部分電荷を決定するときと、その部分電荷を用いて構造最適化や分子動力学計算を行うときとで、矛盾無く一貫した取り扱いを行うCQEq法を提案してきた。今回、分子力場のひとつであるUniversal Force Field(UFF)とCQEqとを組み合わせたCUFF力場の精度を確認するために、一連のアミノ酸分子の構造最適化計算を行った。CUFFによって最適化した構造を、HF/6-31G**計算で最適化した構造と比較すると、一部の二面角を除いて、比較的よく一致していることがわかった。さらに、最適化した構造における各原子上のCUFF法による部分電荷と、HF/6-31G**レベルのRESP法によって求めた部分電荷との比較を行った。その結果、CUFF法では、炭素原子と結合した水素原子上の部分電荷は過大評価され、酸素原子や窒素原子と結合した水素原子上の部分電荷は過小評価される傾向があることなどが明らかになった。このことから、電荷平衡法の精度向上のためには、少なくとも2種類の水素原子を考慮する必要があり、各元素の電気陰性度や硬さなどのパラメータも改善する必要があることが示された。

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2003 Chem-Bio Informatics Society
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