Chem-Bio Informatics Journal
Online ISSN : 1347-0442
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ISSN-L : 1347-0442
3 巻, 2 号
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Original
  • 戸田 成洋, 岩田 依子, 多胡 敬子, 古源 寛, 金子 次男, 宮本 秀一
    原稿種別:  
    専門分野: 分子認識
    2003 年 3 巻 2 号 p. 46-57
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/06/04
    ジャーナル フリー
    アルツハイマー病治療薬として新たなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤を設計、合成した。そこで、阻害剤とアセチルコリンエステラーゼのモデリングを行い、その相互作用様式を考察した。最初に、分子動力学法により化合物の配座解析を行い、安定配座を得た。次に、得られた構造を用いてアセチルコリンステラーゼとのドッキングスタディを行った。得られた複合体モデルのエネルギー値は、リジッドな7員環構造を有する光学活性体の阻害活性に差が見られること及びフレキシブルな鎖状構造を有する光学活性体には阻害活性に差が無いことと良く対応していた。また、複合体モデルの構造的特徴に注目することにより、鎖長の違う化合物の構造活性相関を明らかにした。
  • 輪湖 博, 安 江虹, 皿井 明倫
    原稿種別:  
    専門分野: 分子生物学における情報計算技術
    2003 年 3 巻 2 号 p. 58-77
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/06/04
    ジャーナル フリー
    蛋白質の立体構造をドロネー四面体分割することで局所構造を定義する方法(Wako and Yamato, Protein Eng. 11, 981-990 (1998))を用いて、αヘリックス上の位置およびそれを取り巻く環境に依存したアミノ酸出現頻度を解析した。ドロネー四面体分割法は、与えられた蛋白質の立体構造(ここではCα原子のみを考える)が占める空間を、頂点をCα原子とする四面体で一意的に分割する。そして、各四面体に、それを含む局所構造の特徴を反映したコード(文字列)を指定することが出来る。αヘリックス内部では36種類のコードが指定されるが、そのコードの違いは、主として、αヘリックスを取り巻く4つのアミノ酸残基の有無を反映している。すなわち、αヘリックスを取り巻く環境をそのコードによって表すことが出来る。そこで、われわれは、それぞれのコードについて(環境への依存性)、四面体のそれぞれの頂点における(αヘリックス上の位置への依存性)アミノ酸出現頻度を調べた。さらに、主成分分析を用いて、αヘリックスにおけるアミノ酸出現頻度の一般的な描像、またN末端・C末端における出現頻度などもそのコードを使って解析した。
Communication
  • 小川 哲司, 北尾 修, 栗田 典之, 関野 秀男, 田中 成典
    原稿種別:  
    専門分野: 分子計算
    2003 年 3 巻 2 号 p. 78-85
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/06/04
    ジャーナル フリー
    電荷平衡法(QEq)は、固定電荷を用いる標準的な分子力場とは異なり、分子の構造や環境に依存して原子上の部分電荷を決定し、静電エネルギーを求める方法である。我々は、部分電荷を決定するときと、その部分電荷を用いて構造最適化や分子動力学計算を行うときとで、矛盾無く一貫した取り扱いを行うCQEq法を提案してきた。今回、分子力場のひとつであるUniversal Force Field(UFF)とCQEqとを組み合わせたCUFF力場の精度を確認するために、一連のアミノ酸分子の構造最適化計算を行った。CUFFによって最適化した構造を、HF/6-31G**計算で最適化した構造と比較すると、一部の二面角を除いて、比較的よく一致していることがわかった。さらに、最適化した構造における各原子上のCUFF法による部分電荷と、HF/6-31G**レベルのRESP法によって求めた部分電荷との比較を行った。その結果、CUFF法では、炭素原子と結合した水素原子上の部分電荷は過大評価され、酸素原子や窒素原子と結合した水素原子上の部分電荷は過小評価される傾向があることなどが明らかになった。このことから、電荷平衡法の精度向上のためには、少なくとも2種類の水素原子を考慮する必要があり、各元素の電気陰性度や硬さなどのパラメータも改善する必要があることが示された。
  • Kholmurodov Kholmirzo, 平野 秀典, 戎崎 俊一
    原稿種別:  
    専門分野: 分子認識
    2003 年 3 巻 2 号 p. 86-95
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/06/04
    ジャーナル フリー
    我々は、遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病に代表的な200番目のアミノ酸変異に着目し、ヒトプリオンタンパク質の分子動力学計算を行った。本研究は、3種類のプリオンタンパク質のモデル構造を用いて行った。モデル1はNMRにより決定された構造であり、3つのαへリックスと1つの逆平行βシートから構成されている球状ドメインである。モデル2と3は、モデル1の構造にGlu200→AspとGlu200→Lys(クロイツフェルト・ヤコブ病に関連)のアミノ酸置換を行う構造である。計算の結果、モデル1と2の構造は安定に保持されていた。一方、モデル3の構造において、Glu200→Lysのアミノ酸置換に起因するタンパク質の部分的な構造の崩壊が観察された。
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