2004 年 25 巻 1 号 p. 41-49
心拍数変動や血圧変動の持つ10秒周期(0.1Hz)ゆらぎであるMayer波は,安静時に明確に現われる.一方,強い情動反応が生じた場合などには,心拍数変動と血圧変動の間の関係性が変化することが考えられる.この予想に基づき,Mayer波帯域における血圧-心拍数間の相互相関関数の最大値ρmaxを指標とすることにより,情動反応の定量化を行うことが期待できる.しかし,これまでの方法では連続血圧の計測に大型で高価な計測装置が必要であるところが欠点であった.そこで本研究では,自作した小型で安価な装置で計測できる脈波伝播時間を用いてもρmaxが得られることを示すとともに,9人の被験者に対する情動反応誘発画像提示実験により,このようにして得たρmaxが情動反応を有意に反映するものであることが示された.