抄録
わが国の食料消費に伴い直接・間接に発生する環境負荷への,過去および将来の人口・世帯構成変化の影響を定量的に評価するため,家計支出データを用いて,世帯・個人属性別に二酸化炭素排出量を推計し,過去の変化要因と将来シナリオの分析を行った。結果として、過去10 年間の環境負荷の変化に対しては,高齢化や単身世帯増加の要因が大きく,環境負荷原単位の変化による寄与は相対的に小さかった。将来シナリオ分析の結果、2030 年の家計食料消費に伴う二酸化炭素排出量は,2000 年比で3~14%増加すると推計された。そのうち最も中庸的なシナリオでは,将来の人口減少によるマイナスの寄与と,人口・世帯構成の変化,所得増加のプラスの寄与の3つが,それぞれ同等程度の効果を有する推計結果となった。