抄録
本研究においては,環境教育投資の財源として環境税を導入したモデルを構築し,現在偏重型選好を有する個人の枯渇性資源消費に及ぼす環境教育の効果について分析を行った.その結果,現在偏重の度合が大きいほど初期において過剰な消費が行われるが,環境税導入による環境教育投資によって過剰消費を緩和させることを明らかにした.また,環境税導入による環境教育は,個人行動の変容による社会厚生の改善と,所得減少による社会厚生の減少というトレードオフの関係を有する2つの効果があることを明らかにした.さらに,数期間にわたる個人をそれぞれ別の世代と考えた場合,環境税の導入は世代間の格差を是正する効果があることを示した.