抄録
道路沿いの看板等と車の駐車台数を用いた簡便な指標にもとづき、生物多様性に関連する森林の価値及び利用実態について地域間及び天然林・人工林の間で比較した。その結果、双方の指標とも類似の地域差を示した。特用林産物の採取は奥会津と阿武隈山系の天然林で多く、釣りは奥会津と阿武隈のみで観察され、筑波と沖縄・奄美では行楽・山歩き等が半数以上を占めた。また、自然保護関係は沖縄・奄美が最も多く、人工林では天然林に比べて林業と釣り以外の種別が少なかった。森林の価値や利用の度合に大きな差があることは政策の方向性に明確な地域差をつけることの必要性を示唆している。