2016 年 22 巻 3 号 p. 193-196
アビシニアン系短毛種猫が頭部,体幹部を中心とした脱毛を主訴に来院し,Microsprum canis(M. canis)による皮膚糸状菌症と診断された。フルコナゾールの投薬開始70日以降,投薬が中断され,22ヵ月後に左側下顎口唇部に M. canisによる真菌性肉芽腫が発生した。イトラコナゾールの内服により病変は消失したが,再び投薬が中断された後に再発を繰り返して口腔内へ波及し,921日後に斃死した。以上より,皮膚糸状菌症の不十分な治療が真菌性肉芽腫を引き起こす可能性があると示唆された。