主催: 一般社団法人環境情報科学センター
p. 143-148
都市街区スケールにおいて実際に人が歩行時に受ける熱ストレスの変動の実態を捉えるために,東京都市街地で移動観測手法により連続的な空間における暑熱環境を計測した。観測ルート内はアスファルトやコンクリートで覆われた地表面性状であったが,約5℃ものWBGT 変動が見られた。観測時は熱中症発生リスクが高い環境下であったが,日射量は高くなかったことからWBGT は入力放射量(黒球温度)よりも気温との相関が最も高く,次いで湿球温度に依存する傾向が見られた。建物が密集する「住宅街」は「街道」沿いよりも熱ストレスが高い傾向にあり,これは家庭から排出される熱や水蒸気が滞留していたためと考えられる。