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中津川市加子母小郷集落の事例
松岡 崇暢, 岩本 光一郎, 本田 恭子
p.
1-6
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究は,一つの集落が維持管理する農業用水路内に行政主導で小水力発電を導入し,市内全域の農業振興や農業施設の修繕費に売電収益を活用する事例に着目した。導入を受け入れた集落の賛否反応,売電収益の使い道の理解度,維持管理展望を明らかにするために,集落全戸を対象としたアンケート調査を実施した。売電収益の使い道の理解度は,行政の説明会の参加状況が反映されており,地域への関心と関わり方が重要であることを示唆することができた。
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講義による意識変化に関する一考察
和田 有朗, 吉田 大樹, 中野 加都子
p.
7-12
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,大学生のエネルギーに対する意識モデルを設定し検証すること,またエネルギー教育による大学生のエネルギーに対する意識の変化について明らかにすることを目的とした。 2 回の講義前後で行った4 回の質問紙調査の結果から共分散構造分析を行い,大学生のエネルギーに対する意識の仮説モデルを検証した。多母集団同時分析を行った結果,大学生のエネルギーに対する意識は,講義の実施によって【原子力・再生可能エネルギーの理解】の意識が【エネルギーに対する関心】へ影響を与えることが示された。
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地理情報を用いた東海三県でのケーススタディ
小野 聡, 奥岡 桂次郎, 谷川 寛樹
p.
13-18
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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木材は循環利用が可能で低炭素社会を実現する上で重要である。本研究では木材利用を促進した時の,都市と森林全体での炭素固定量を推計した。また,地理情報を用いて都市部と森林部での木材輸送を最適化する手法の確立をおこなった。木材利用の促進に関して滅失非木造住宅の木造住宅への置換シナリオや耐用年数増加シナリオの組み合わせによる計6 つのシナリオを設定した。耐用年数2 倍,滅失した非木造住宅の3%を木造住宅に置換するシナリオの際,都市と森林の合計で1 億5974 万t-C となり最も高い値となった。空間解析では都市部と森林部での需給ギャップと需給地点間の空間分布を可視化した。
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藤平 慶太, 湊 隆幸
p.
19-24
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,ダイナミックプライシングの下でプロシューマーが「余剰電力」に対して持つことができる事業オプションについて,短期の繰り返し事業オプションである「売電タイミングオプション」と,長期の事業オプションである「蓄電設備導入オプション」という2 つの事業オプションの観点から価値構造の分析を行った。「蓄電設備導入オプション」の価値構造は,「売電タイミングオプション」による追加的価値を原資産とする事業オプションになると考え,電力価格の変動幅の不確実性に伴う価値の変化要因を分析した。ケーススタディによる感度分析の結果により,電力価格の変動幅の増加による追加的価値の変化の傾向が示された。また,蓄電設備の容量による,追加的価値の変化の傾向が示された。
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IPCC 第4次・第5次評価報告書に焦点をあてて
齋藤 さやか
p.
25-28
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,IPCC 第4 次評価報告書及び第5 次評価報告書に関する新聞報道に焦点をあて,日本の報道の特徴を捉えることを目的とする。対象新聞は,日米英3 か国において気候変動問題を積極的に取り上げている朝日新聞,The New York Times,The Guardian である。各回,第 一作業部会から第三作業部会終了後1 週間の報道に焦点をあてる。報道量,争点フレーム,報道内容を比較した。その結果,日本では第一作業部会において科学フレームが相対的に少ない傾向,社説においては政策アクターの言動に基づく議論の展開が見られないことがわかった。
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岩見 麻子, 馬場 健司
p.
29-34
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,岐阜県長良川流域における社会・気候変動について多様なステークホルダーを対象にヒアリング調査を行い,その結果にテキストマイニングを適用することでステークホルダーの関心事項の可視化を試みた。対象とした26 団体を,言及した語の傾向によって6 グループに分類し,各グループと言及した語の関係性を可視化した結果,1)全グループで共通の関心事項は気候変動の影響や,長良川のアユや漁業者の減少,今後の仕事や地域との関わりであったこと,2)たとえば漁業と観光事業,河川管理のグループ間では長良川のアユなど,事業や活動の分野が異なっていても共有されている関心事項や問題意識があることを明らかにすることができた。
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1.5℃と2℃
小坂 真理
p.
35-40
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,UNFCCC のStructured Expert Dialogue(SED)で行われた気温目標に関する審議の背景と結論を包括的に整理すること,また気候変動交渉におけるSED の貢献を明らかにすることを目的として,各国の2℃や1.5℃の気温上昇に関する主張がSED の最終報告書にどのように反映されたかを分析した。分析の結果,最終報告書には,1.5℃への強化を含めた長期目標のあり方に関する小島嶼国と後発開発途上国の主張が強く反映されていることがわかった。またSED では,気候変動に関する政府間パネルとは異なる種類の科学者と政策決定者とのインターフェースが展開されており,今後の国際交渉の場で科学的知見を考察する際の一つのモデルとしての例を示すことができた。
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對馬 孝治 , 山名 泰智
p.
41-46
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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ゲンジボタル(Luciola cruciata)とヘイケボタル(Luciola lateralis)は自然環境下の日常的な食性の評価が困難であるため,それらの保全に必要な知見が十分ではない。本研究では,神奈川県藤沢市の川名緑地において,体組織の炭素と窒素の安定同位体比を用いて水生ホタル類の食物源を明らかにすることを目的とした。ゲンジボタルの幼虫はカワニナやヒメタニシを捕食していたと考えられた。ゲンジボタルの成虫は,幼虫期に生息していた水域付近に留まっていたと考えられた。一方ヘイケボタルの幼虫は,成虫が捕獲された水域のカワニナやヒメタニシを捕食していたとは考えられなかった。
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高木 寛人, 時松 宏治
p.
47-52
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
固定価格買取制度(FIT)は再生可能エネルギーの普及に貢献している。FIT制度の見直しが行われたが,バイオマスに関する制度変更は十分行われていない。本研究では,中小規模のモデルプラントを対象とした,適正な固定買取価格の評価を目的とする。発電効率,所内率,直接建設費が設備容量に連動するよう,コスト等検証委員会の試算シートに対し,独自の改変を加えた。さらに学習効果による運転維持費の低減を織り込んだ発電コストモデルの検討を行った。その結果,現行のFIT は学習効果による発電コストの低減を考慮しても中小規模プラントを対象とする買取価格は低いという結論になった。
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松永 有加, 奥田 知明, 對馬 孝治
p.
53-58
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究は藤沢市を対象とし,PM2.5 の高濃度現象の発生要因の検討を行った。2014年において2 月から6 月にPM2.5 濃度の日平均の環境基準値を超過した日は9 日あったが,7月以降は超過していなかった。後方流跡線解析において,中国上空からの気塊の流入頻度は1~5月では60%以上であったが,6月からは減少傾向となり,8月では3.2%となった。PM2.5 濃度の環境基準超過日の後方流跡線はほぼ全てにおいて中国上空からの流入を示した。中国からの気塊の流入で必ずしもPM2.5 濃度が環境基準を超過するわけではないが,環境基準超過日には高濃度のPM2.5 粒子や二次生成粒子の原因物質が流入してきていたと示唆された。
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田中 紫織, 栗島 英明, 中村 昭史, 時松 宏治
p.
59-64
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
ソーシャル・キャピタル(SC)は,人とのつながりを資本として捉えた概念であり,既存の経済指標で測りきれない地域資本の1 つとして注目を浴びている。本研究では,Resource Generator(RG)を用いて千葉県館山市におけるSC を測定し,その分析を行った。RG では,日常生活や非常時において力になってくれる人がいるかどうかを30 程度のチェックリストを用いて測定する。分析の結果,館山市住民のSC は性別や世代,居住形態,世帯人数,転出経験といった個人属性に加え,U ターン者が市外への転出経験を持たない者よりも豊富なSC を有することが示唆された。また,居住エリアによる統計的有意差も僅かだが認められた。
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海宝 慎太郎, 阿部 直也
p.
65-70
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究は日本において実施されている多様なエコツーリズム推進自治体について,人口構成・産業などの地域の社会・経済条件を考慮して,エコツーリズムを推進する自治体の特徴を抽出し,同ツーリズムの今後の推進に資する知見を得ることを目的とした。その結果,現在日本に展開する多様なエコツーリズムについて包括的な理解が可能となり,エコツーリズム推進自治体は4つの類型に分けられ,各類型の地域統計から3つの異なるエコツーリズムが推進されていることを推定した。その上で本研究は,3種類のエコツーリズムを「希少自然リゾート型」「都市部日帰り型」「アクティブ小旅行型」と名付け,同ツーリズムの今後の推進を検討している自治体に対する指針を実証的に提供した。
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あびき湿原の保全活動を事例として
山口 創
p.
71-76
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究では,自然資源の保全活動における知識管理の実態を明らかにするため,兵庫県加西市のあびき湿原の保全活動を取り上げ,知識管理における場の理論とリーダーの働きに着目し,知識管理の仕組みを分析した。ヒアリング調査の結果,地域固有の湿原保全に関する知識は,専門家と地域住民,行政が知識の共有や創造を繰り返しながら,確立する構造が示された。また,このような管理構造を構築する上で,専門家,地域,行政という3者がそれぞれ異なる役割を担っていることも示された。
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坪井 塑太郎
p.
77-82
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究の目的は,熊本県西原村における自治体の災害対応と,被災者の生活復興感・健康に関する評価の一体的把握を試み,初動・応急期の避難生活から復興初期段階に至る被災後1 年間における現状と課題を明らかにすることである。本調査の結果,西原村では発災初期より災害対応組織の柔軟な組み換えや本部設置方法のほか,独自の被災者生活再建支援システムの構築により迅速な被災者対応が行われたことが明らかになった。また,被災者評価のうち復興感評価では「被災状況」や「住まいの状況」が影響していることが明らかになった。また,健康評価においては長期の避難所避難者や車中泊避難者において健康悪化が生じていることが明らかになった。
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黄 琬惠, 清水 夏樹
p.
83-88
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
台湾の環境教育法は2010 年に制定された。法によって環境教育の受講が義務化され,小中・高・学校や政府機関などが対象となった。また,環境教育を推進するために,環境教育機構・環境教育員・環境教育実施施設と場所など3 つの認証制度も法に定められている。法が制定されて以降,集落による環境教育の体験学習が各地で積極的に進められ,環境教育実施施設・場所の類型の中で,「集落経営型」と言われる取り組みを生み出すこととなった。本研究の目的は,台湾における環境教育法の施行と集落経営型の環境教育の実態を明らかにすることである。
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韓 国栄 , 古谷 勝則
p.
89-94
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
呼倫湖自然保護区では2012 年頃から観光事業が推進されているが,観光は地域住民の生活に影響を与えている。本研究では,呼倫湖自然保護区を対象に,地域住民と観光客の観光への意識の違いを明らかにすることを目的とした。2014 年8 月にインタビュー調査を実施した。次に, 2014 年8月末から10 月中旬にかけて,観光客(n = 465)と地域住民(n = 1,647)にアンケート調査を実施した。自然環境,地域文化に対する評価は,地域住民,観光客両者共に評価が高く,娯楽施設,宿泊施設,施設整備等観光地の整備に対する期待は観光客の方が高かった。また,両者の意識に、呼倫湖自然保護区の自然環境への評価と自然保護の意識を捉えることができた。
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バングラデシュ・クルナ市の事例から
佐藤 秀樹
p.
95-100
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究は,ウエイスト・ピッカーの社会的排除の緩和につなげるために,彼らの地域での廃棄物管理に果たす役割を意識し,且つ住民の適切なごみ処理の技能を身につけるための環境教育教材の内容とその方向性を筆者のアクションリサーチにより考察することを目的とする。教材内容としては「 (1)ブレーンストーミングステージ(クイズ付フリップカード)」,「(2)楽しく学習するステージ(カルタ,ボードゲーム)」,「(3)アクションプランステージ(アクションプランシート)」の3 ステップが,一つの学習プログラムとして考案された。そして,定期的に学校で活用するための仕組み作りの構築や家庭および域地住民が連携して廃 棄物管理の環境教育を実施していく必要性,並びにそのための地域社会の廃棄物管理に関わる指導者を養成していく重要性が明らかとなった。
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ベトナム中部山岳農村のアカシア林業従事世帯への聞き取りを通して
時任 美乃理, 淺野 悟史, 西前 出
p.
101-106
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
東南アジアで急速に拡大している外来早生樹の造林地において,近年キクイムシ類が媒介する萎凋病が確認されており,樹木の枯死現象が東南アジアで拡大することが懸念されている。本研究では,アカシア造林地が拡大しているベトナム中部山岳地域を対象とし,林業を営む住民への聞き取り調査を行い,樹木萎凋病被害の対処法と森林資源利用の関わりについて考察した。その結果,林業を営む住民による薪利用が萎凋病被害の拡大を防ぎ,アカシア林を健全に維持するための機能を果たしている可能性が示唆された。しかし一方で,貨幣経済の浸潤により将来的には,こうした薪利用の習慣が継続されない可能性があることも指摘された。
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菅原 遼, 畔柳 昭雄
p.
107-112
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究では,神田川における染色業を中心とした地域づくりの変遷とその今日的動向の特徴を捉えるため,関連史料を用いた文献調査やヒアリング調査を実施した。その結果,江戸・東京における染色業は,河川環境および土地利用の変化に応じた河川流域における染屋の分散・移動がなされており,特に神田川流域に立地する染屋においては,河川利用に依存した立地的特徴がみられた。また,近年の染色業を中心とした各種取り組みの展開に際しては,染色業に関する専門的組織単体による事業実施だけでなく,多様な組織・団体と連携することで,染色業と河川を媒介とした多様な事業実施へと展開してきていることを捉えた。
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二反田 広希, 浦出 俊和, 上甫木 昭春
p.
113-118
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
琵琶湖では,外来魚による在来種の食害が問題となっていると同時に,外来魚を対象としたスポーツフィッシングが非常に盛んである。滋賀県では,平成15年度に釣り上げた外来魚のリリースを禁止する条例を施行した。しかし,未だ釣り上げた外来魚をリリースする人は多い。本研究では,琵琶湖における外来魚のリリース行動の要因とそのメカニズムを明らかにするための知見を得ることを目的とする。琵琶湖沿岸の釣り人に対してアンケート調査を実施した結果,外来魚という釣り資源への保護意識,琵琶湖の外来生物問題への認識の低さ,外来魚回収ボックス等の設置状況が,リリースの要因として存在することを明らかにした。
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中野 信宜, 藤原 宣夫
p.
119-124
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
近年我が国の河川護岸で増加しつつある外来植物ヒメツルソバについて,大阪府堺市を流れる大和川水系西除川の護岸擁壁での生育位置と水位変動の関連を検討した。2015 年夏に,59.6m 区間の擁壁の写真撮影を行い,水平距離1m 間隔で設置した調査ライン上の株の垂直分布位置を画面上で記録した。2005 年から9 年間の水位変動記録との関連を調べた結果,ヒメツルソバは,年間累積冠水日数が260 日を超えると深刻な影響が表れ,300 日以上で生育が困難になること,また年間連続冠水日数が140 日を超えると深刻な影響が表れ,200 日以上で生育が困難になることが示唆された。また冠水以外に,擁壁の乾燥や本種の種子供給時期も生育位置に影響する可能性が考えられた。
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内田 裕貴, 朝香 智仁 , 青山 定敬, 野中 崇志, 岩下 圭之, 杉村 俊郎
p.
125-130
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
次世代静止気象衛星「ひまわり8号」の正式運用が開始された。従来より大幅な観測機能の向上が図られ,分解能の向上,観測波長帯数の増加,および高頻度観測が実現している。地球観測衛星Landsat と同様な可視,近赤外画像データからは土地被覆情報を,熱赤外データからは地表面温度情報を抽出することができる。本研究では連続観測された地球表面温度情報から首都圏の熱環境の日変化の傾向について解析を行ったものである。
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三坂 育正, 石丸 泰, 堀口 恭代, 成田 健一
p.
131-136
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
屋外空間の温熱環境と人の空間利用の関係を明らかにすることを目的として,温熱環境と人体生理・心理反応,滞在状況に関する調査を行った。調査結果から,暑熱対策による温熱快適性の向上と,心理申告から対策場所が涼しく,快適な空間と感じられていることを確認できた。空間の利用状況は,時間・場所で基準化した利用者数から評価を行った。基準化した利用者数と温熱快適性指標とに関係がみられることから,暑熱対策を行うことで利用者数の増加を推定できる可能性を示唆できた。さらに,数値解析と基準化利用者数を用いて,設計・計画段階で暑熱対策効果による利用者の増加について予測する手法について提案した。
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山崎 慶太, 佐々木 章晴, 半澤 久
p.
137-142
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本論文では,まず冬期間の外気温・風速と,寒冷地の温室の気温,ボイラー吹き出し温度を実測して温室の熱消費の実態を把握し,日最大暖房負荷・日暖房負荷には,外気温と同様に風速が影響することを明らかにした。次に,重回帰解析により求めた回帰式を用いて,日平均気温・風速・日照時間から日暖房負荷,年間暖房負荷を求めた。寒冷地の温室のCO2排出量原単位は,北海道の戸建て・集合住宅の約2倍に近く,温室の全国平均より30%高かった。これは,寒冷地の温室で消費される化石燃料を,環境インパクトが小さい木質バイオマスなどの再生可能エネルギーに置き換えることの有用性を示唆している。
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河野 恭佑, 植田 弥月, 稲垣 厚至, 小田 僚子
p.
143-148
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
都市街区スケールにおいて実際に人が歩行時に受ける熱ストレスの変動の実態を捉えるために,東京都市街地で移動観測手法により連続的な空間における暑熱環境を計測した。観測ルート内はアスファルトやコンクリートで覆われた地表面性状であったが,約5℃ものWBGT 変動が見られた。観測時は熱中症発生リスクが高い環境下であったが,日射量は高くなかったことからWBGT は入力放射量(黒球温度)よりも気温との相関が最も高く,次いで湿球温度に依存する傾向が見られた。建物が密集する「住宅街」は「街道」沿いよりも熱ストレスが高い傾向にあり,これは家庭から排出される熱や水蒸気が滞留していたためと考えられる。
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被験者実験による心理生理的効果に関する考察
平田 裕貴, 鍋島 美奈子, 西岡 真稔, 桑原 浩平, 石丸 泰, 堀口 恭代
p.
149-154
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
ミスト噴霧等の暑熱対策効果を心理生理反応から多面的に評価するために路面電車停留場で検証実験をおこなった。実験において日向,既設テント下,暑熱対策装置下の3 か所で環境計測と被験者を用いて生理量と心理量を計測した。実験結果より,全身温冷感と平均皮膚温度,または上腕の皮膚温度との関係をみると,上腕皮膚温度の方が全身温冷感との間により強い相関関係があ ることが確認できた。これは上半身を中心にミスト噴霧装置の影響が及んでいることが原因である。
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大橋 唯太
p.
155-160
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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内陸盆地の一日や日々の寒暖差ストレスを実際の人体生理量変化から確認し,世界的に広く使われる体感温度UTCI インデックスが気候ストレス情報として有用であるかを検証した。屋外の気象測定データから算出されたUTCI は観測期間中,早朝の約7℃から日中30℃までの大きな寒暖差をあらわした。このとき被験者は一日のなかで寒冷ストレスと暑熱ストレスの両方を経験しており,観測されたUTCI の情報は,被験者の温冷感覚,体表面温度,血圧,心拍変動とそれぞれ明瞭な関係性を呈した。また,UTCI と生理量の変化から,UTCI が20℃台前半の条件で温熱生理的にストレスが最小となり,その範囲から低温側にも高温側にもストレスは増大する特徴がえられた。
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新井 侑子, 畔柳 昭雄, 菅原 遼
p.
161-166
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
舟運文化が隆盛を極めた江戸期において,河岸地は経済的繁栄をもたらす場として重視されていた。中でも,河川沿いに立地した「料亭」は,河岸地特有の水文化を考慮した営業形態や空間性の確保がなされていた。そこで人気を博していた料亭を当時の『会席即席御料理』から抽出し,それらの料亭の立地特性および現在に至るまでの立地件数の変遷の要因を時事から推測した。その結果,多くの料亭の立地や造りに舟運文化と関連があり,これらの料亭は経済成長に伴う舟運文化の衰退や河川価値の低下等の要因からその数も減少していたことが明らかになった。
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武 正憲, 坂入 愛, 和田 茂樹
p.
167-170
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
下田湾遊覧船からの動画記録を用いて,釣り利用者の行動把握を行った。さらに,その結果に基づき,釣り利用による経済価値評価を試算した。1 日の利用者数は106.5 人であることと算出された。また,平均滞在時間は1 時間42 分となった。さらに,釣りに関する文化的サービスを試算すると,聞き取り調査時の居住地割合(下田:関東=1:5)を元にすると,年間約1 億9 千万円の経済価値があると推定された。
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久保 暁子, 山本 清龍
p.
171-176
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究では,山岳遭難事故が発生した場合に活用が見込まれる登山計画書に焦点を当て, ①登山者の属性,登山特性を把握するとともに,登山計画書の提出状況とその詳細を明らかにすること,②登山計画書を提出しやすい環境づくりのための改善策について考察すること,の2点を目的とした。その結果,実際の岩手山の登山者では,登山計画書の提出未経験者が32%おり,その理由の多くは,記述が面倒であること,登山計画書が何かよく分からないからということだった。インターネットを利用した登山計画書の提出を普及すること,登山計画書の様式に関する検討が必要と考えられた。
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石内 鉄平, 宮田 明憲, 桑原 祐史
p.
177-182
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究は,周遊するための国道に着目し,点在する既存の観光資源の位置と地域の景観特性を一体的に捉えることで観光振興に寄与することを目的とする。そのため本研究では,土地利用および標高データを用いた可視・不可視分析,観光資源の類型化に向けて主成分分析およびクラスター分析を行った。 その結果,茨城県南部では水辺や田園風景,森林景観を一度に楽しむことができるエリア,北部には田園風景や農用地,森林景観,海の眺望が楽しめるエリアといった既存観光資源と地域の景観特性を踏まえた新たな地域区分が提案された。
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服部 優樹, 浦出 俊和, 上甫木 昭春
p.
183-188
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
近年急速に普及するトレイルランにより,混雑日におけるハイカーとランナーの登山道の共用上の問題が発生している。本論文では共用問題の実態,およびそのメカニズムをアンケート調査によって明らかにした。その結果,登山道の空間条件が厳しいことや,利用密度が高く,利用者の行動が阻害されるといった要因は,共用問題の主な内容であるすれ違い時における接触や衝突を引き起こし,さらに利用上の快適性も引き下げるということが明らかとなった。今後,多様化する国立公園を管理する上で,特に問題発生の可能性が高い条件下においては利用をコントロールする対策が必要である。
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山本 清龍, ジョーンズ トマス エドワード
p.
189-194
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
フリー
本研究では,事例として富士山保全協力金制度を取り上げて,①登山者の属性と意識,行動を把握した上で,富士山保全協力金の支払行動を規定する因子を明らかにすること,②協力率向上のための方法論について考察すること,の2点を目的とした。研究結果から,富士登山者には20-30
代の比較的若い世代,初めての登山者が多かった。また,富士山保全協力金の支払行動を規定する重要因子として,制度の目的の認知度,協力金受付場所の視認性と係員の声がけが抽出された。協力率の向上にむけては,情報提供,協力金を収集する現場の管理などが重要と考えられた。
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安 可, 吉田 謙太郎, 山本 充
p.
195-200
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,訪日外国人客に対応した日本の国立公園整備のなかでも施設整備に関わる項目の重要度を明らかにすることを目的とし,中国人を対象としてベスト・ワースト・スケーリング(BWS)手法による評価を行った。BWS 集計結果では,展望台や散策路整備の重要度が高く,多機能トイレの整備等は評価が低くなった。条件付ロジットモデル及び混合ロジットモデルの推定結果からは,日本の国立公園訪問経験のある回答者は,中国語情報提供関連の整備項目への重要度が低くなることが明らかとなった。
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谷下 雅義 , 大野 暁彦
p.
201-206
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究では,国土交通省の世帯の乗用車保有・利用に関するパネル調査におけるパネル回答者データを利用して,ハイブリッド車の保有と利用の実態を把握した。その結果,1)世帯主年齢が高いほどハイブリッド車を保有する。2)ハイブリッド車を保有している世帯は走行距離が4%ほど長い。3)車種によらず走行距離は年齢とともに短くなる。また年齢の他に鉄道やバスのサービス水準が走行距離に大きな影響を与えている。そして4)走行距離が長い世帯ほどハイブリッド車に買換えやすいことなどを明らかにした。
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混合研究法を用いた地域社会の事例から
片野 洋平, 笠波 春菜
p.
207-212
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究は,過疎自治体の空き家情報から外的情報を利用して危険家屋の発生要因を抽出することを目的とする。自治体職員へのインタビューおよび先行研究から導かれた危険家屋の発生要因と当該自治体における空き家の外的情報の関係性を統計分析した結果,一定の関連性が見られた。 この結果を,空き家の近隣住民に対するインタビュー調査から確認した。本研究により,外的情報から,危険家屋の発生要因を一定程度明らかにすることが可能となることが示唆される。
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ボンディング型とブリッジング型の比較
覃子懿 , 田中 勝也
p.
213-218
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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本研究は持続可能な地域社会の形成にむけた、地域におけるソーシャル・キャピタル(SC)の規定要因を分析した。分析ではボンディング型とブリッジング型のSC を区別し,それぞれが異なる要因に規定されていることを明らかにした。また、分析の結果からは年齢,収入,婚姻状況,居住形態,教育水準などがSCの蓄積に正の影響を与えることが示された。それらの中でも,居住形態はボンディング型SC のみに,教育水準はブリッジング型SCのみに影響することが示された。以上のことから,SCの蓄積による持続可能な地域形成を検討していく際には,規定要因ごとにSC の蓄積に与える影響を考慮して,きめの細かい政策を実施することが重要と考えられる。
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阿部 弘樹, 坂部 創一, 山崎 秀夫
p.
219-224
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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活力喚起型動画視聴の主観的頻度が多い学生ほどレジリエンスとQOL が高い関係性を示すとの仮説を設定した。情報系大学生を対象に調査を行い,共分散構造分析で分析した結果,仮説は検証された。また,レジリエンスに対する活力喚起型動画視聴の影響度は,良書読書の主観的頻度よりもやや強く,軽視できない向上効果が示唆された。
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川口 将武 , 大平 和弘, 上田 萌子, 藤本 真里, 赤澤 宏樹
p.
225-230
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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東大阪市の街路樹における市民要望と空間的・環境的要因の関係性について,市民要望が多い22 路線の分析を通じて把握した。その結果,都市部における街路樹の維持管理に関して,「①住居系地区では,良好な居住環境のために樹種特性に即した維持管理を行う。②住商混合地区では,多い大型車両や歩行者に配慮し,見通し確保や落ち葉清掃,殺虫など計画な維持管理を行う。③住工混合地区では,制約が最も大きく車両の見通しに配慮した低木の維持管理を行う。」知見を得た。
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包 薩日娜, 服部 俊宏
p.
231-236
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
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本研究では首都圏在住の移住希望者を対象にして,移住希望者の移住要件と移住意向を明らかにした。その結果,移住要件の順位においては,仕事や住宅を1 位と選択した回答者が多く,医療環境や自然環境の良さなどを3 位や4 位としていることが多い。移住に至るには仕事や住宅という生活を支える基礎条件をクリアする必要があり,さらに医療や自然環境が良好であれば移住地として選択される可能性が高まると言える。
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御手洗 洋蔵, 松嶋 賢一
p.
237-240
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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近年,都市部では余暇利用を目的とした農業が人気を集めている。中でも市民農園の利用は,都市住民にとって余暇活動の一つとして定着してきている。今後,都市住民にとって快適な余暇空間として市民農園を円滑に運営していくためには,農園利用者の目的に応じて,農園の運営規律や管理手法を整備する必要がある。本研究では神奈川県厚木市を事例として,厚木市が運営する市民農園利用者への意識調査から,活動目的を基として利用者を分類することを試みた。その結果,大きく3形態に分類することができ,今後,それぞれの利用形態に応じた支援のなされることが望まれる。
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鴻野 智崇, 井上 雄太, 伊藤 哲司, 桑原 祐史
p.
241-246
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
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2015 年4 月,ネパール国でMw.7.8 の地震が発生した。北部山岳地帯では斜面災害が多発し,居住する少数民族が大きな被害を受けた。被災域は広域に渡っており災害発生域抽出には衛星リモートセンシングデータの利用が有効である。しかし,急峻な山岳地帯では,光学センサやSAR を用いた場合に,観測向きや地形形状が抽出結果に大きな影響を与えることが想定される。そこで本研究では,既存のさまざまな斜面災害域抽出方法の効果を検証し,現状の衛星データで高精度に抽出できる方法を提案した。検討の結果,急峻な地形がSAR の観測に制約を与えていることが確認され,現状では光学センサデータを利用した土地被覆分類が有効であることを示した。
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恒見 清孝, 川本 朱美
p.
247-252
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
会議録・要旨集
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プラスチックに含まれる多数の化学物質の室内での暴露によるヒト健康リスクを推定するためには,室内に存在する多数の製品に含有する化学物質を特定して,化学物質の室内暴露解析を行う必要がある。プラスチック種類別に含有する化学物質が異なることから,プラスチック種類別に室内ストック量を把握することで,既存の室内暴露解析ツールを使用することができる。そこで本研究では,室内で使用される製品中に含有するプラスチックを対象に,国の統計データにもとづく室内フロー・ストック解析の枠組みを構築し,種類別・品目別にプラスチックの室内存在量を推定した。
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栗岡 理子
p.
253-258
発行日: 2017年
公開日: 2017/11/25
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近年, 各地でペットボトルの散乱が報告されている。飲料容器の散乱については, 1970 年代から1990 年代にかけて「空き缶公害」が問題視された際, ローカルデポジットの導入が試みられた。しかしそれは全国に波及するに至らず, 解決策にはならなかった。1995 年, 国はごみ減量とリサイクル促進を目的に, 容器包装リサイクル法を制定した。同法によりリサイクルは促進されたが, 散乱ごみ問題は解決されなかったと考えられる。同法には生産者にも消費者にも自治体にも回収促進のインセンティブは与えられていない。このため, 散乱ごみ対策としては根本的に限界をもつ。本稿は, こうした経緯を検証することで, ペットボトル散乱問題の解決の糸口を探る。
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