舟運文化が隆盛を極めた江戸期において,河岸地は経済的繁栄をもたらす場として重視されていた。中でも,河川沿いに立地した「料亭」は,河岸地特有の水文化を考慮した営業形態や空間性の確保がなされていた。そこで人気を博していた料亭を当時の『会席即席御料理』から抽出し,それらの料亭の立地特性および現在に至るまでの立地件数の変遷の要因を時事から推測した。その結果,多くの料亭の立地や造りに舟運文化と関連があり,これらの料亭は経済成長に伴う舟運文化の衰退や河川価値の低下等の要因からその数も減少していたことが明らかになった。