本研究は,絶滅危惧種ライチョウを事例とし,調査精度,面積と傾斜角について,専門家による調査(専門家調査)と比較した登山ツアーによる市民調査(市民調査ツアー)の特徴を明らかにすることを目的とした。結果,専門家調査の面積(ha/日)を市民調査ツアーの1日の調査でまかなえず,傾斜地の調査活動も少なかったが,1 時間あたりの同時期の専門家調査と面積,個体確認数ともに同程度で調査できていた。また,市民調査ツアーは個体群中の確認個体と,標識個体,非標識個体の比率の年変化を専門家調査と同程度に検出できた。したがって,専門家調査の調査範囲を広げる役割は期待できないが,専門家調査の調査回数を補えると明らかになった。