主催: 一般社団法人環境情報科学センター
p. 35-40
本研究では,UNFCCC のStructured Expert Dialogue(SED)で行われた気温目標に関する審議の背景と結論を包括的に整理すること,また気候変動交渉におけるSED の貢献を明らかにすることを目的として,各国の2℃や1.5℃の気温上昇に関する主張がSED の最終報告書にどのように反映されたかを分析した。分析の結果,最終報告書には,1.5℃への強化を含めた長期目標のあり方に関する小島嶼国と後発開発途上国の主張が強く反映されていることがわかった。またSED では,気候変動に関する政府間パネルとは異なる種類の科学者と政策決定者とのインターフェースが展開されており,今後の国際交渉の場で科学的知見を考察する際の一つのモデルとしての例を示すことができた。