主催: 一般社団法人環境情報科学センター
p. 41-46
ゲンジボタル(Luciola cruciata)とヘイケボタル(Luciola lateralis)は自然環境下の日常的な食性の評価が困難であるため,それらの保全に必要な知見が十分ではない。本研究では,神奈川県藤沢市の川名緑地において,体組織の炭素と窒素の安定同位体比を用いて水生ホタル類の食物源を明らかにすることを目的とした。ゲンジボタルの幼虫はカワニナやヒメタニシを捕食していたと考えられた。ゲンジボタルの成虫は,幼虫期に生息していた水域付近に留まっていたと考えられた。一方ヘイケボタルの幼虫は,成虫が捕獲された水域のカワニナやヒメタニシを捕食していたとは考えられなかった。