抄録
同一河川を水源とする6つの用水路においてイシガイ類の生息分布の把握,生息が確認された水路での生息環境調査を2012年4月から11 月にかけて行った。その結果,調査した6つの用水路の内,1 水路のみマツカサガイ,タガイの2科2種の生息が確認され,どちらの種も継代している可能性が高いことが分かった。生息が確認された水路と確認されなかった水路との比較や,生息が確認された水路での調査結果から,粒径1mm 程度の砂から5mm 程度の礫が40%程度を占め堆積する底質が適しており,この底質の形成には適正な流速値が存在することが考えられた。また,その適正な流速値には,水路内で行われる分水作業などの水管理が関与している可能性が示唆された。