最初のトキの放鳥から10 年を迎えた現時点での住民のトキに対する認識について,これまでの調査と同様の方法によりアンケート調査を実施し,比較検討を行った。まず,野外でのトキの生息数が増加している中で肯定的な認識が継続されていた。次に,肯定的な認識は,最初の放鳥前後である「2008 年と2009 年」と約6 年および10 年が経過した「2014 年と2019 年」で特徴が分かれていた。この10 年でトキに対して「地域のシンボル」とする認識が確立しつつある中で,農業面での心配は増加していた。現時点では「心配」の段階であるが,「害鳥視」につながらないように,被害の実態等についての調査の蓄積およびその発信が待たれる。