東京都神田川上流域を対象とし,都市空間に即したグリーンインフラ導入シナリオを設定し,これを評価するための地下水流動モデルの構築を行うことを通じて,地下水涵養及び湧水の再生を主眼とする健全な水循環の形成を目指すグリーンインフラを活用する計画手法を検討した。その結果,グリーンインフラを用いて雨水の地下浸透対策量を平均で約15.4mm/h 増加させることが,台地部地下水位の3m 前後以上の上昇,ほとんどの河川区間での湧水量の増加等,健全な水循環の形成に寄与する可能性が示された。また,重要な雨水浸透域を「地下水涵養区域」等として即地的に示しグリーンインフラを集中的に導入していく施策展開の可能性が示された。